蕪Log

同人サークル「蕪研究所(ブラボ)」だったり、日常のよしなしごとだったり。あらゆる意味で日記です。

博麗神社例大祭16に出展した話

忘れていた宣伝

こんにちは。ブログでの告知をすっかり忘れていましたが、こういった本を例大祭の方で頒布させて頂きました。

Boothにて通販を受け付けておりますので、よろしければどうぞ。

やったからには振り返る。それが我々同人者だ

実に二年ぶりの博麗神社例大祭へのサークル参加でした。そのため時の流れのせいか新鮮に思うところもあったりなかったり、時間の流れについて行けてないなと思うところもあったりなかったり。

そういう意味も込めて、振り返りをしていきたいと思います。

サークル参加して良かったこと、一般参加者としてよかったこと、反省したかったこと、インターネット物申しまとめの順でいきます。

サークル参加して良かったこと

大別して3つあります。即売会に新刊をひっさげて出ることの喜びを、再認識した形です。

  • サークル参加費に対して黒字になった
  • ターゲットにした人にきちんと届き、喜んでもらえた
  • 同人誌を介して新しい人との出会いがあり、嬉しかった

順に詳述する……前に、ぼくにとってこの『死神ちゃん』という小説がどういった意味合いを持っているのかを軽く説明しておきます。

『死神ちゃん』、それは未完の口惜しい作品

じつは同名の小説を二年前くらいに発行したことがありました。覚えている方いらっしゃるかな……?

その時のはB6二段組み、多分50pくらいの本です。ただ、少々出来映えに不満の残るものでした。

まず、表紙を落とされました。それで慌てて、1日、いや、6時間ぐらいで描いてもらったラフもラフをコラージュして、辛うじて本としての体裁を整えた形になります。

次に、推敲する時間もそんなに取れませんでした。当時は残業3.5h/日が当たり前な日々を過ごしていたためです。労働死すべし、慈悲はない。

結果、捌け方は芳しくなく……苦汁を舐めさせられた参加になりました。初出は冬コミだった気がする。底冷えしました。心まで震えてました。

そういうわけで、今回の『死神ちゃん たいせつなひと のまき』は、その時の雪辱を濯ぐという意味で、大変豪華な完全版にしようと思って意気込んだ作品だったのです。

『死神ちゃん』に求めたスペック

『死神ちゃん』を発行するにあたって、僕がどうしても妥協できないと思った点は以下の三点です。

  • 原作へのリスペクトを感じられるようにする
  • 物語として、自分の表現したいものを表現しきる
  • 表紙をつける

その結果、固まった仕様は以下のようになりました。

  • 『死神くん』の版元であるJU○P COMICSさんの装丁に限りなく近づける
  • 厚さも単行本一冊に出来るだけ近づける
  • こまえーきが好きなので最終的にこまえーき本にする
  • 『死神くん』の設定は出来るだけ使う

上記の要求を満たすために、表紙担当のpezy-byte氏にはかなりの無茶振り発注をしました。

ゲストさん三名にも、まったく打ち合わせをせずにただ「小町が出てくる話を書いて下さい!」とお願いだけして、僕は自分の原稿に閉じこもっていました。

今思えば申し訳ねぇと言う気持ちでいっぱいですが、ありがたいことに僕は優秀な周りの方々に支えてもらう事で生き延びてきた人種なので、今回の本は会心の出来となりました。表紙の出来は書影をご覧頂ければ分かるとおり。ゲストさん原稿もキラリと光る作品ばかりです。

勿論、僕の原稿も負けてはいません。珠玉のこまえーき本になったという自負があります。というわけで以下のBoothから発注どうぞ。

bu-labo.booth.pm

で、サークル参加して良かったこと

話が大きく逸れたようにみえるかも知れませんが、これは前振りです。

つまり、『死神ちゃん』のターゲットはだれなのか。誰に届けば”成功”なのか。という観点でものを語る上で、『死神ちゃん』そのものの説明が必要だったのです。

回りくどい言い方は、ナシにしましょう。僕が想定したターゲットは、以下の人たちです。

  • 欠片でも『死神くん』を知っている人
  • こまえーき派の人

上記のORをとった人々に訴求できればウレシイとおもい、例大祭のイベントに臨みました。

結果として20部が捌けました。嬉しかったのはその中の一冊……一番最後に捌けた本かな。ポスターとPOPに目を留めた人が一言、

「こんなところで死神くんって単語を見るとは思わなかった」

って持って行ってくれたことなんですよね。

そのときは今まで出たどんな即売会での感慨よりも、なお深いものを得ることが出来ました。

その直前に作家の芦辺拓先生が手に取って下さったのですが、正直それより嬉しかったです(先生ごめんなさい)

勝ちもうした! 

ターゲットにした人間の手へ、目の前で届くということ。

東方と、リスペクトもとの作品への愛情を、その場で共有できると言うこと。

それが即売会の醍醐味じゃあありませんか。

たとえその方とは今生の別れになるのだとしても、僕は書き手として、この感動を忘れることは無いと思います。

黒字がどうたらこうたら

↑の喜びに比べれば些細なことなのですが、弊サークルとしては初めて、参加費に対して黒字となりました。

これについてはあとの物申しパートのところで詳述するのでまぁ待っていて下さい。

一般で良かったこと

久々に、頒布される側のワクワクを味わうことが出来ました。

というのは、今回売り子を頼んだ若い子が、6~7万近い同人誌を集めてスペースに帰ってきたので、「おお、昔は僕もこうだったな」と良いエネルギーを貰えたのをキッカケに、ちょっとスペースをふらついてみたのです。

宝の山でしたね。目が腐っていたとしか思えない。

今回は作業用BGMを探しに行ったのですが、島中にこそ宝あり。今聴いてるCDも素晴らしい出来です。「1/6 gravity in virtual reality」です。

このワクワクに応えられるような本を、作れているだろうか……? 受け手として出た先ではそんな不安も覚えたりしましたが、答えは先述したとおりです。

僕はひとりの参加者の心を捉える本を作りました。それでいいんです。同人誌は。

反省したかったこと

別にねぇなぁ……

いや、無くはないんです。先に述べた主義主張と矛盾するようですが、もっと広い層にリーチする宣伝の仕方があったのではないか……って。

今回の宣伝方法は、『死神くん』を思い切り前面に押し出したやり方をしていました。その結果、『死神くん』を知らない層には、忌避感をもたれてしまったのではないかという懸念があります。

実際にそれは、スペースから一般参加者の目線を追っていれば明らかで……。

今回、スペースの前を通った人は三種類しか居ませんでした。

  • ノールックで本を手に取っていく人
  • ポスターを眺めて立ち去る人
  • 素通りする人

POPを見て去った人、本をチラ見して去った人がほとんど居なかったことが重要です。

そしてノールック勢のほとんどが、Twitter上での絡みがある人であったことも付け加えておかなければならないでしょう。

つまり、ほとんど身内票なのですよね。僕のことを知らない未知の読者には、この本の存在は届いていない。響いていない。

付け加えて、POPを眺める人がほとんど居なかった事を考えるに、スルーされてしまった原因はコンセプトそのものにあったとみて間違いないでしょう。

一人の死神くんファンを刺すために、弊サークルは潜在的な需要を潰してしまったのかも知れません。

もしくは、それを届ける方法を間違ってしまったか。その辺は要検討です。もうちょっとバズぢからのあるアカウントがあればな……

一次会終わり

いやぁ、楽しいイベントだった。本当に。

心の底からそう思っているのも事実です。また新刊ひっさげて出たいな。こんどはこんな大ボリュームじゃなくてさ、気軽に手に取れるやつで。

『死神ちゃん』は通販中です。何とぞ何とぞ。僕が潤うと作品も潤いまっせ。