最期の「マリアの心臓」に行ってきました
マリアの心臓、ラストです。
大事なことなので最初に書きます。12/24までの展示を以て、銀座銀遊ビルでの展示は最後になるそうです。
夭折の作家天野可淡の作品、ブリュ・ジュモーらのアンティークドールなど、ここでしか見られない人形が目白押しです。入館料1000円なんて安いもの。
人形好きは是非。そうでもない人は是非ご来館頂いて、自分が人形を「好きか嫌いか」はっきりさせて見て下さい。
レポ:思わず祈りを捧げた場所3カ所
タイトルがうろ覚えなのはご容赦下さい……覚えるの苦手……。位置はお伝えしますので、ぜひご覧になって下さい。
ちょっとした注意と、承前
館内に特徴的な張り紙があります。
「人形は作家の肖像故、撮影禁止」
このコンテキストを基に紹介していきます。
可淡ドールのひな壇:「12の少女と~~~~」
位置は、恋月姫人形が血涙を流す祭壇のちょうど裏側。読経か小噺っぽい男性の声が流れる中での対面となります。
タイトルの通り、12体の少女人形がひな壇に座っています。
あたかもひな人形のようですが、人数構成が違います。下から6-4-2だったと思います。
人形のサイズは恐らく全長30cmほどで、大きくはありません。
しかし小さいからと言って、可淡人形の持つ激しい感情の発露が削がれることはまったくありませんでした。
十二の人形達。僕には彼女らが、まるでひな壇に縛り付けられているようで、懇願を呈しているように見えました。
いまは亡き天野可淡と言う天才が、12体の少女に託した思い。何だと思います? 私はただ、壮観であるあまり胸を打たれて、何も言えませんでした。
恋月姫氏新作
会場で言うところの左最奥、茶室のように身をかがめて入らないとならない空間に鎮座されています。
とにかく美しい。恋月姫人形の粋が、比較的小さめの体に詰まっています。
決して合わないダークグレーの瞳。ふっくらとした少女と娘のちょうど中間の顔立ちを呈しながら、視線と口元はまるで全てを見通しているかのような達観した様子。
衣装、ライティングと相まって、しばらく椅子に腰掛けて対話を試みました。のぞき込めばのぞき込むほど、暗銀の光の中へ飛び込んでいくかのような錯覚を覚える。
その果てに待っているのは、自分自身の姿なのだと、かつて先生はおっしゃっていました。
旅に出るよりもお手軽です。ぜひこの人形と向き合って、自分自身と対話してみて下さい。
マリア・クローチェ
展覧会名を冠するお人形は、硝子ケースの中に入って安らかに眠っています。
荘厳な気持ちになれるので是非ご覧下さい。精細に作り込まれた唇、肌の質感など、大変精緻に作られた十字架なのだとはっとさせられます。
ちょっとだけ、天井の蛍光灯かなにかが映り込んでしまい、見づらかった気もしますが……。見やすい角度からどうぞ。
「~~するオルゴール」
可淡作品のなかで、初見かつもっとも感銘を受けたのがこちらの作品です。
多くは語るまい。ぜひご覧になって、「人形の多様性」、ひいては「人間の多面性」を遺憾なく引き出したこの作品をお楽しみ下さい。
良かったです(2回目)
他にも、紹介しきれないくらいの人形があります。
清水真理先生、中川多理先生、三浦悦子先生……現代を代表する人形作家さんたちの作品が一堂に会する展覧会、貴重な機会です。
是非足をお運び下さい。