蕪Log

同人サークル「蕪研究所(ブラボ)」だったり、日常のよしなしごとだったり。あらゆる意味で日記です。

ゴスロリ博物館(原宿会場)に行ってきました。

4/30、翌日に出勤を控えエネルギーと文化が枯渇気味。

COMIC1の売り子として参加させていただいて、創作者側のパワーを頂こうとしても上手くいかず。

それで、なにか感性にプラスになる物を何か……とおもって、前々から気になっていた「ゴスロリ博物館」という展示に行ってきました。

ゴスロリ博物館とは

ゴスロリ発祥から30年間の、その当時ゴスロリと呼ばれていた服装を集めた展示会です。

クラウドファンディングによって資金調達が行われ、大成功を収め、今回原宿での開催となりました。

また、11月頃には大阪での開催も予定されています。

公式Webページがないのが残念極まりない……

readyfor.jp

展示内容(掲載許可を得ています)

ゴスロリ」と呼ばれていたお洋服がマネキンに着せられて陳列されていました。

1.1980年代はどこかヴィクトリアンな感じを思わせるシックな物。 f:id:bu-labo:20180503081121j:plain

2.そうかと思えばメイドさんのような物もあり…… f:id:bu-labo:20180503081205j:plain

3.修道女を思わせる衣装もありました。 f:id:bu-labo:20180503081629j:plain

4.「ゴシックロリータ」と言うテーマとは一見不釣り合いな爽やか系の衣装もあり。 f:id:bu-labo:20180503081158j:plain

5.我々(オタク男子)の思うゴスロリ風衣装は随分後半になってから登場したようです。(2000年代) f:id:bu-labo:20180503081226j:plain

感想というか啓蒙というか

展覧会の案内人である瑠璃さん 瑠璃@ゴスロリ博物館 (@lapis_child) | Twitter

のお友達から、さまざま「ゴスロリ」の文化についてお話を伺うことができました。(お話が濃密すぎてお名前忘れた……申し訳ありません。)

結論から言うと、「ゴスロリ」と一口でまとめるにはその精神性があまりに多様すぎて、まずは個別の服に対する回答になってしまいます。そのご、弱輩の知識によって総括を行います。

メイド服調の服を着ることの精神性とは?(2.)

これは男性の側からすると疑問に思うところです。可愛らしいし嗜虐心をそそるのだけど打ち消し線で示した部分が、そのまま女性にとっては嫌忌したい感情なのではないかと思っていたからです。今風に言うと#Metoo 案件ですね。

ただ、主催の意見を求めてみると、必ずしもそうでは無いことが分かりました。

メイドというのは、給仕する立場です。それはお姫様や女主人と言った物語の主流ではなく、傍流にたち「彼女らに仕える」存在であると言うことです。メイド服を好むゴスロリさんたちは、そういう精神性や立ち位置を身に纏いたいという意思があるようです。

水色のナース服は何者? (4.)

白黒、落ち着いた古風な色合いのなかでひときわ異色を放つ、ライトな水色のワンピース。

これもゴスロリなんですか? と尋ねたとき、今日一番の啓きを得ました。

胸元の十字マークに注目して下さい。これはクロス(十字架)ではなく、医療行為を示すサインだったのです。

医療行為と言えば、傷を切り開き、鮮血の中から患部を取り出す非常に熱烈で鮮烈な、痛みを伴う救済の行為です。それを敢えて宝飾で美しい物に飾り立て、水色という対局の色彩で身に纏うという……アンバランスさ、踏み込めば倒錯したデザイン。

そういうものだったということがおたずねしてみて分かりました。

肉を切れば血が出て赤くなる。ならばこの白いクロスはきっと、心を切るための物なのでしょう。

その発想はなかった……というのが正直な感想です。デザイナーさんってすごいし、それを敏感に察知してファッションに取り入れられる女子ってすごいと思いました。

全体を通して

写真を見返してみるに、発足当初のゴスロリについては、「ゴシック様式への回帰」への欲求が強い印象を受けました。

それが時代が下るにつれ、女性向けブランドとしての地位を確立していく内に、「女性の感じる痛み」を徐々に吸収する過程で、彼女らが仮託しやすいモチーフを色々と取り入れていく結果になったのではないかと推測します。

純白のドレス風、または修道女といったモチーフは、そのまま清廉さ・潔白さを示し、世俗の穢れからの離脱を嘱望しているように見えます。

一方でメイド服のような生活に根ざした物は、「私は傍流で良い」という諦めによるものか、それとも「灰かぶり」を意識した野心の表れなのか……そのあたりは踏み込んで聞けませんでしたが、ともあれこの時点で、モチーフに対して託す精神性の違いが見えてきます。

女性という性別に対する多様性が認められた……というよりも、女性が意思発信をできるようになったということも少し影響しているのかな、という印象がありました。もっとも、およそゴスロリのような原宿系のファッションというのは、あらゆる抑圧に対するカウンターとして生まれた物だと認識しているので、この一文は蛇足かも知れません。

まとめ

たかが服の展示と侮るなかれ……聞いてみたら女性が8割だそうですが、男子こそ行くべき展示です。大変学びの多い物でした。創作にも生かしていきたいと思います。

次回開催は大阪だそうですので、気になる方は主催のTwitterをチェックしてみて下さいね。

瑠璃@ゴスロリ博物館 (@lapis_child) | Twitter

余談

当時のV系のライブハウスには、ゴス系の衣装を着て 応援に行く女子がたくさんいたそうです。

あのひらひらの衣装で、シャウトやサインを作ったりしたんでしょうか。見てみたい気持ちもあり、お洋服が裂けそうで怖い気持ちもあります。